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さて凱旋門賞当日です(↑もちろんオルフェーヴルね)。





場内ではカタールの民族舞踊が披露され(カタールはスポンサーでもある)、
ドレスアップした男女がシャンパンを飲めるブースでグラスを傾け、
オルフェーヴルやキズナの応援グッズを手にした日本人が、
あちらこちらで記念撮影をしていました。
その雰囲気は、やはり日本では味わえない華やかさがありました。

プログラムを買い忘れたので、出馬表だけでもと、
前の日に置いてあった場所に行きましたが、もうありません。
困ったなあと通路に佇んでいると、向こうからやってくるのは元同僚のNM氏です。
仕事で来ている彼に、出馬表がなかったことを伝えると、
鞄から自分の分を取り出して、僕にくれました。
実は、前日も「ひぐま」で夕飯までごちそうになってお世話になりっぱなしだったのですが、
ついでに「すいているトイレはどこ?」と訊くと、
「ひょっとしたら指定席エリアでも、トイレだけは使えるかもしれません」
との情報をいただきました(実際、使えるところがありました)。

そうこうしているうちに、あっという間に凱旋門賞の時間がやってきました。
パドックはものすごく混んでいたので、
馬が馬場に出る通路の脇で待機していました。

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キズナと武さんです。
なぜにこんなに小さい写真かというと、
連写で撮っていたら、ここでメモリーがいっぱいになったのです…。
みなさん、いらない画像はすぐに捨てましょう。

全馬、馬場に出たところでスタンドへ移動し、
4コーナー寄りにあいている場所を発見、
子連れのご家族の隣で発走を待ちました。

「ああ、あと数分後に歴史的瞬間を目にすることができるかもしれない」
そう思うと興奮して胸がどきどきしてくる反面、
心の片隅にそれを冷ますかのような不安がありました。

「うまくいきすぎている」
日本馬2頭は前哨戦を鮮やかに勝ったのに対し、
有力馬の1頭であるノヴェリストは出走回避、
そしてもう1頭の強敵トレヴの鞍上だった名手デットーリは骨折のため乗れなくなり、
さらに大外枠を引いた…。
あまりにも日本馬に追い風が吹きすぎていて、
最後の最後で、その風に煽られてひっくり返されないだろうか…。

期待と不安が心の中で渦巻くなか、ゲート入りの映像がビジョンに映し出されました。
その時です。隣にいた家族の一員である少女(たぶん小学校高学年ぐらい)が、
つぶやいたのです。
「ORFEVRE…」
えっ…、と思った瞬間ゲートが開きました。

そして結果はご存知のとおりです。
たぶん現地の方の中にも「今年は日本馬にやられるかも」と、
諦めていた人が多数いたと思います。
だからこそ、トレヴが直線ぶっちぎったとき、
「やっぱり我がフランス馬だ!」という喜びが声になったのでしょう、
その歓声はすさまじかったです。

それにしてもトレヴの勝ち方には驚きました。
終始掛かり気味に外目を追走、フォルスストレートで仕掛ける早めのスパート、
それなのに直線でのあの伸び…。
天国を夢見ていた日本勢を地獄へ突き落とす悪魔のような走りでした。

そのトレヴがT.ジャルネ騎手を背にウイニングランをして、
スタンド前に戻ってくると、勝者を称える拍手がわきおこりました。
ここはフランス、僕も当然みんなにならい拍手をしました。

「Booooooo!」
びっくりして隣を見ると、
さっきの少女が親指を下に向けて、
なんとブーイングをしているのです。
その行為の良し悪しは置いておいて、
僕は少し嬉しくなってしまいました。

(まああまり考えられませんが)彼女はジャルネ騎手やトレヴが嫌いだったのかもしれませんし、
ひょっとしたらワインボトルを持ってる、
ほろ酔い加減のお父さんに頼んで買ってもらった馬券が外れたのかもしれません。
でも、僕はこう思いました。
「彼女はオルフェーヴルが好きなんだ。
オルフェーヴルが1番最初にゴールを駆け抜けるところが見たかったんだ」と。
たしかに凱旋門賞優勝という、
日本馬にとって歴史的偉業は達成できなかったけど、
フランスにいるこんな小さな女の子がファンになってくれたんだ、
それだけでもすごいよ、オルフェーヴル。

レース後、前日試しに乗ったトラムで帰ろうと思いましたが、
無料送迎バス乗り場に行くと、人は並んでいないし、
道路もそれほど混んでいないように見えました。
そんなわけで、前日同様バスで帰ることになり、
空いている席に座りました。
ところがバスはなかなか出発せず、どんどん人が乗り込んできて、
みるみる車内は帰るお客さんでいっぱいに。
そこに大柄で、あまり歩くことが得意ではなさそうな老紳士と、
奥様であろう女性が乗ってきました。

僕もそう若くはありませんが、
その男性を立たせておくほど年寄りではありません。
席を立って「どうぞ」と目配せをすると、
老紳士は驚いた顔をしたものの、
「メルシー、ムッシュ」と言いながら席に腰掛け、
豆狸にも「メルシー、マダム」とお礼を言ってくれました。
(豆狸も奥様に席を譲ろうとしたら、
とんでもないという表情で「Non」とおっしゃいました)

それからしばらくしてバスは出発したのですが、
やはりというか、道はバスが進むにつれて混んでいき、
結局30分以上かかって駅に到着しました。

老紳士は席を立つときにも、
「メルシー、ムッシュ」と申し訳なさそうな表情で言い、
慎重にバスのステップを降りていきました。
きっと「日本馬が負けてがっかりしてるのに、
席まで譲ってもらって、すまないね」と、
そんなふうに思っていたのかもしれません。

でもいいんです。
30分もあなたを立たせていたら僕がいたたまれないし、
近い将来、この10月第一日曜日に日本馬が勝ちます。
そのときには、
「メルシー、ムッシュ。メルシー、マダム」、
そして「メルシー、ロンシャン!」と言わせてもらいますから。




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